Jun 20, 2020

三回忌 父の日に。佐久間健一より

今の根底にある
【人を幸せにするのは知識と技術】

物心ついた時から、金魚のフンのように
追っかけまわしていた父の背中。

江戸時代からの大工家系のうちでは、
父が19台目の社長。

その多忙さから、
僕が起きている時間にはほとんど家にいない

だから、休みの日やたまに早く帰る日は
常に背中を追いかけていた。

優しく相手をしてくれる反面、
恐ろしい程侵してはならない領域があった。

それは3つ
・仕事場に立ち入ること
・仕事中に絡むこと
・仕事物に手を触れること

それ以外では怒鳴られることなど
想像もできないほど優しい父。

母に怒られた時も、父は大爆笑!
駄々こねて頼んだ欲しいものも買ってくれ、
父の夜遅い食事のおかずを欲しがっても
「将来返してね笑」笑って食べさせてくれ、
ドッチボールして顔面に当ててしまった時も
何故だか大爆笑してた笑
いや、あなたタバコ吸いながらやってたから
髪燃えてますけど!!!
(子供ながらに強烈に印象に残った笑)

そんな好きで好きでたまらない父が、
唯一怖いと思ったこと。

それが
・仕事場に立ち入ること
・仕事中に絡むこと
・仕事物に手を触れること

同じ遺伝子を受け継いでいるから分かる。
自分の人生を全て掛けている神聖なこと。
それが誇り。

文字通り、その腕一本のみ。
その誇りで死ぬまで僕や母、姉、祖母。

何一つ、何一つ不自由することなく、
そしてこれから残った僕らが
誰一人不自由することないように
きちんと残してくれた。

子供心で、でも怖さも知ってたから、
決死の覚悟で言った小学3年生の頃。

「一緒に行きたい!」

それは休みの日曜日。
従兄弟の家のキシむ床を直しに行った時。

邪魔はしない、ただ見てたいだけなんだ。

言葉にはしなかったけど、
真剣に見つめる男同士。

はじめは睨んだような怖さだったけど、
いいよ!と笑顔で言ってくれた。

実際に何をどうやって直してるかは
まったくわからなかったけど、
唯一覚えてるのは、
その時の従兄弟の感謝の顔。

それを聞いて嬉しそうに笑う父の顔。

僕に見せてくれる顔とは少し違う。
それは無償の愛の優しい笑顔ではない。

何か違う顔。

???

今振り返ると分かる。

そう。それは自分の誇りである
知識と技術を使い、人に喜んで貰える嬉しさ

【人を幸せにするのは知識と技術】

間違いなく、この瞬間に仕事の価値観や
今に至る過程の全ての根底が作られた。

そして大学に行く頃、
僕には僕のやりたいことが見つかった時。

父は一切僕に、20代目を継ぐということを
一切。口にはしなかったけど、
本当はそうして欲しかったんだと分かる。

だから覚悟を決めて話す。

その時に感じた気持ちや心からの尊敬の念。
そして自分のやりたいことの想い。

初めて一生に一度、父親に土下座した時。

59歳の父と20歳の僕。

意外にも、あっけらかんと「頑張れ!」
と背中をさすってくれた父。

もう涙が止まらず、
「ありがとうございます。」
を言うのが精一杯だった。

顔を上げると、それはもう初めて見る顔。

僕以上に泣き、そして笑い、
背中をさすってくれる父親。

無償で受け取ったものは数知れず、
やったことは単なる親不孝。

罪悪感、最愛の人を傷つけた、一家の恥、
期待を裏切った、親を泣かせることをした、
後悔の念が止まらない。

それを察してくれてかの
泣きながら笑ってくれた。

同じ仕事を継いで
恩返しすることはできなかった。

でも、同じ想いを受け継いで
それを生涯の仕事にしていくことは誓った。

【人を幸せにするのは知識と技術】

どんな時でも、どんな状況でも、
周りに何を言われても、何も関係ない。
それを信じて誇りを持って進んでいくこと。
その腕を磨き続けること。

若かりし頃は、もちろん無下に扱われる。
あいつはバカ、何考えてるか分からない、
付き合わない方がいい、罵詈雑言。
そんなことは聞き飽きるくらい聞いた。

でも断じて折れることはない。
心から信じて疑わない。確信しているから。

【人を幸せにするのは知識と技術】

そしてそれを磨くために、
死ぬまで精進し続けること。

それを見て感じて育って、
それを信じて続け、今こうしていられる。

あなたの残してくれた想いは、
僕が間違いなく受け継ぐ。

僕が心からやりたいと思ったこと。
それを話して背中を押してくれたこと。

世界中のその悩みがなくなるその日まで。
人一人の人生の時間じゃ
全然足りないかもしれない。

でもそれが生を与えてくれた証。
あなたに育ててもらえた証。
今、これからを生きていく証。

【天まで届け!!!!!!!!】

あの時の笑顔で笑ってくれてるだろうか、
それは分からないし、確認もできない。

でも、僕も一生。
その役目を終えるその日まで。

受け継いだ想いを受け継いで、
人生の全てを掛けていくこと。
知識と技術を磨き続け伝えていくこと。
それを経て悩みを無くして一緒に笑うこと!

そのことをあなたに誓います。

そう思える生き方を言葉ではなく、
背中で教えてくれた父へ。
これからもどうか見ていてください。

三回忌の祝辞 佐久間健一より

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